n次のバターワースBiQuadフィルターを設計する
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以前のBiQuadフィルターを改良して、n次のバターワース型に対応したデジタルフィルタを考えてみます。
バターワース型フィルターとは
バターワース型フィルタとは、カットオフ周波数で-3[dB]減衰しn×-6[dB/Octave]の減衰特性を持ったフィルターのことを指します。次数によってより急峻に減衰していくことになります。
バターワースフィルタ – Wikipedia
つまり、2次でカットオフが1000[Hz]なら周波数特性は
1000[Hz]で-3[dB]、2000[Hz]で-12[dB]するということ。
n次のバターワース型フィルタの伝達関数は以下の式で表されます。
なおは
と、複素数形式での表現となってます。これをバターワース多項式といいます。
これをそのまま複素数形式でもいいけど、複素共益な極同士をかけることで実数形式で書くこともできます。
さらにとして正規化すると、正規化バターワース多項式とすることができます。
とし、正規化バターワース多項式は
と書き表すことができます。
つまり、次数が増えても2次または1次のバターワースフィルタの縦続接続ですべて表現することができるということです。
この基本形となる2次または1次のバターワースフィルタをBiQuadフィルタとし、これを縦続接続することでn次を実現することにします。
BiQuad係数の導出
1次BiQuad係数の導出
双1次変換とプリワーピング
1次の場合、バターワース多項式はとなります。
なのでLPFの場合、伝達関数はです。
これを双1次変換していきます。
双一次変換の式は
でした。正規化バターワース多項式ではとしていますが、実際にはカットオフ周波数が入るのでプリワーピングした周波数で割ります。
プリワーピングの式は
よって
半角の公式から*1
この式をもとに1を
として、、の共通因数であるを除く
それぞれにをかける*2
展開して整理すると
となりました。
1次LPF係数の導出
1次バタワースのLPF伝達関数に先程の双一次変換でもとめた式を代入していく
よって
1次HPF係数の導出
1次バタワースのHPF伝達関数に先程の双一次変換でもとめた式を代入していく
よって
周波数特性を算出する
導いた伝達関数を持つフィルターの周波数特性を調べる場合にはの式にを代入すれば計算できる。
の範囲をの範囲で変化させればよい。
オイラーの公式から*5
複素数なのでの絶対値を取り、dBにする。
で、実装したフィルターの周波数特性を出してみました。
カットオフ周波数は1[kHz]でサンプリング周波数は48[kHz]です。
次数はnを1~4まで確認しました。
カットオフの-3[dB]とn×-6[dB/Octave]の減衰が実現されてます。
余談
多分、これを応用すればn次のチェビシェフとかも作れるはず。多分。
チェビシェフ多項式の方が面倒そうだし、仕事でとりあえずバターワースを使う感じだったので作ってはないけどね。
そのうち作ってはみたいなとは思うけど、めんどそう。
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